7日間ミニ・ダークネス・リトリート:結果と示唆
2025-08-19
TL;DR
- 直前7日 vs 実施7日(各n=7)の観察比較。
- 合計睡眠 +42分(+10.8%)、深い睡眠 +21分(+28.0%)、覚醒 -5分(-7.2%)、睡眠スコア +3。
- 深い睡眠の割合も 19.3% → 22.3%(+3.0ポイント)。
- 交絡(運動/カフェイン/就寝時刻など)を十分に統制していないため、因果は断定しない。
はじめに
寝る直前の1時間をアイマスクで過ごす「ミニ・ダークネス・リトリート」を1週間試した。
実施前の7日間をコントロールとして、Fitbitの指標で差分を確認する。
設計の背景は以前の記事にまとめた。
プロトコル(再現性)
- 介入:就寝前 60分 を暗闇で過ごす(アイマスク着用)。スマホ/PCは見ない。
- 活動:読書(紙/音声)、瞑想、ストレッチなどリラックス行動。終了後はそのまま就寝。
- スケジュール:消灯・起床は通常運用と同じにする(意図的な前倒しはしない)。
- 評価指標:Fitbitの 睡眠スコア / 合計睡眠 / 深い睡眠 / 覚醒。
- 比較枠:実施直前7日間(コントロール) vs 実施7日間(介入)。
結果
集計テーブル
指標 | 直前の7日間 | 実施した7日間 | 差分 | 変化率 |
---|---|---|---|---|
睡眠スコア | 74 | 77 | +3 | — |
合計睡眠時間 | 6時間28分 | 7時間10分 | +42分 | +10.8% |
深い睡眠時間 | 1時間15分 | 1時間36分 | +21分 | +28.0% |
覚醒状態時間 | 1時間9分 | 1時間4分 | -5分 | -7.2% |
深い睡眠の割合* | 19.3% | 22.3% | +3.0ポイント | — |
* 深い睡眠の割合 = 深い睡眠時間 ÷ 合計睡眠時間
考察
- 量も質も上向き:合計睡眠が+42分、深い睡眠が+21分で、深い睡眠の比率も+3.0ポイント。単なる「長く寝ただけ」より、質の改善が示唆される。
- メカニズム仮説:光入力と刺激を切る→覚醒度が下がる→入眠後の断続的覚醒が減り、深い睡眠へ遷移しやすくなる。
- 実務的含意:就寝前の「光・情報ダイエット」を60分だけ入れるのは、コストに対して見返りが大きい可能性。
限界(バイアス/交絡)
- n=7 vs 7 による短期比較。週内の変動や曜日効果の影響を受けやすい。
- 交絡要因(運動強度、カフェイン/アルコール、夕食時刻、ストレス、就寝時刻のズレ)を統制していない。
- デバイスは推定値であり、ステージ推定の誤差はある。
まとめ
就寝前60分の暗闇ルーティンは、7日間の範囲では 合計睡眠と深い睡眠を押し上げ、覚醒を抑える 方向に働いた。
短期・観察比較ゆえに因果は留保しつつ、「まず試す価値あり」 の習慣として有望に見える。